
今日はiPhoneに接続する外付けマイクの中でも高級な部類に入る
Shure MV88のレビューをしたいと思います。
僕は3年前に購入し、それ以来ライブや弾き語りの収録に愛用し続けています。
iPhone用外付けマイクならShure MV88、かなりいいです
このレビュー記事を見てるみなさんもそうだと思いますが、僕もスマホ内蔵のマイクに不満が出てきて外付けのマイクを購入しようと思いました。
近年スマホカメラの性能は急速に進化してますが、マイクはそれほどでもないですね。
理由は、音楽をやってない人にはカメラほど性能アップの需要がないし、収音部分はどうしてもスマホの形状を保ったままでは限界があるんですよね。
iPhone外付けマイクの候補としてもう少し値段の安い、ZOOMのiQ7とかもありましたが、結果的にShure MV88を選んで正解だったと思っています。
このMV88、結論から言うとかなりクオリティの高いステレオ・コンデンサーマイクです。
Shureであることへの信頼感、そして世界の坂本龍一も認める実力
僕がShure MV88を選んだ理由としては、なんといってもShureであることへの信頼感が大きかったです。
ライブハウスやスタジオでの定番ボーカルマイク、SM58やSM57といった業界標準マイクを次々と輩出してきたマイクロフォンメーカーの老舗です。ヘタなものを作るはずがない。
そしてiPhone外付けマイクとしては少々値の張るShure MV88の購入に踏み切った決定打は、サウンド&レコーディング・マガジン 2017年6月号のインタビューです。
あの坂本龍一が2017年にリリースした新作アルバム「async」のフィールドレコーディング用に使っているということを知ったからです。

坂本龍一MV88を使う
なんと・・・音質へのこだわりが世界最高峰と言える「教授」が自分のアルバムに使っているなら間違いない。
Shure MV88 実際の使用感
では本題の音質や専用アプリの使い勝手はどうなの?
というところを3年間使ってる僕が、良いところも悪いところもレビューしましょう。
Shure MV88の音質
音質については文句のつけようがありません。
ZoomのiQ7が最高で48kHz/16bitなのに対し、MV88は48kHz/24bitの高解像度で録音できます。
僕が驚いたのは、自分のライブを録音した時に、ライブが始まる前に設置して録音をスタートすると
実際に演奏がスタートする前にお客さんやスタッフさんの会話だったり、小さな物音も録音されるじゃないですか。
それをイヤホンで聴いた時に、今実際に会話してる声かと思って振り返ったくらい。
それくらいリアルな音場と音質で録音されます。
そして爆音のライブでも、過大入力で歪むことは一切ありません。
アプリで録音レベルを調整できるんですけど、ライブ用、弾き語り用のようにプリセットが用意されてるので、プリセットを選ぶだけで適正なレベルで録音できます。
専用アプリ MotiveオーディオとMotiveビデオ
本体の性能がよくても、録音・録画する時のアプリが使いにくかったり、使っている時に落ちたりしたらストレスですよね。
またまた比較して申し訳ないけど、ZOOMのiQ7のアプリがちょっと使いにくいというのを読んだので、MV88のアプリはどうかなと思ってました。
MV88の専用アプリは録音調整もファイル出力もシンプルで使いやすいです。
専用アプリで調整するのは主に2点、マイクゲイン(録音レベル)とマイクの指向性です。
マイクゲインの調整とプリセット

ゲインとプリセット
マイクゲインは何を録音するかによって調整します。
大きな音のライブであればマイクゲインは下げますし、しゃべりやフィールドレコーディングで小さな音を録るのであれば上げます。
プリセットも
- スピーチモード
- 歌唱モード
- フラットモード
- アコースティックモード
- バンドモード
の5つが用意されているので、そこから選ぶだけでよいでしょう。
バンド録音ならバンドモード、弾き語りなら歌唱モードかアコースティックモードという感じです。
マイクの指向性
マイクの指向性とは、何を録音するかによってマイクがどの方向・角度で音を拾うか、ということです。ビデオカメラでも広角で広く撮ったり、狭く撮ったりできますよね。
MV88では
- ステレオモード
- モノカーディオイド
- モノ双指向性
- Rawミッドサイド
4つの指向性が選べ、ステレオモードの時はさらに細かく指向性の角度が調整できます。
普通に弾き語りやバンド演奏はステレオモードでいいでしょう。

ステレオモード
モノカーディオイドはモノラル録音で1方向の録音なので、トークや物音をモノラルで録音したい時

モノカーディオイド
モノ双指向性は向かい合ってしゃべるインタビューやトークの録音に最適です。

モノ双指向性
Rawミッドサイドは、音楽制作に使うMSソフトで後から指向性やステレオの広がり感を調整できるという上級者向けのモードです。

Rawミッドサイド
リミッターとコンプレッサー

リミッター&コンプ
急に大きな音が入ったときや、音量の大小さをできるだけなくすためのリミッター&コンプレッサー機能も搭載しています。
基本的にプリセットを選んだ時の状態でOKでしょう。
ウインドノイズ軽減

ウインドウノイズ
フィールドレコーディングのように屋外で録音する時に邪魔なのが「風」のボーボーというノイズです。これを軽減する機能らしいですが、僕は屋外で使ったことはないので、オンにしたことはありません。
実際に屋外で使う場合は専用のウインドジャマーを取り付けることになるでしょう。
左右スワップ

左右をスワップ
ステレオモードの左右を反転させる機能です。
これはiPhoneの設置状態や、正面カメラで録画する時などでマイクが左右逆になってしまう場合、オンにします。
イコライザー

イコライザー
録音時にイコライザーをかけることもできます。
僕は必要があれば後から別ソフトで調整するので、このイコライザーは使いません。
録音フォーマットと音質

フォーマット

音質
録音フォーマット(ファイル形式)と音質が選択できます。
録音フォーマットは通常はWAVで問題ないでしょう。
音質は僕は常に最高音質の48kHz/24bitで録ってます。
ファイルの共有方法

ファイル共有
これは使い勝手という点で結構重要なポイントです。
パソコンへの転送や共有がめんどくさいと、それだけでストレスになりますしね。
僕は家での作業が多いので、iPhoneをMacに接続してiTunesからファイル共有で直接アプリから取り出してます。
Dropboxを使ってる人はそこに出力するのも簡単ですし、iPhone標準の共有機能も使えます。
ビデオ録画アプリのMotive Videoでもマイク部分の調整はMotive Audioと同じようにできます。
ただ1つ注意点があって
広角が使いたい場合はMV88をつけて、専用アプリのMotive VideoではなくiPhone標準カメラを使えばOKです。
付属の専用ケース

MV88とケース
付属の専用ケースはしっかりしていて、カバンやギターケースのポケットに放り込んでも大丈夫。
このあたりはさすがShure
しっかり考えられています。
Shure MV88のちょっと気になるところ
音質やアプリの使い勝手など、さすがShureと言わざるを得ない値段以上のパフォーマンスを持ってますが、僕が使っていて気になった点も挙げておきます。
ノイズはどうなの?
これはスマホ用外付けマイク全般に言えることですが、接触やスマホ側のマイクに対する認識が悪い状態で使用すると、ノイズ発声の原因になります。
Shure MV88でもそのような状態で録音すると、バリバリというノイズが入ってしまうことが、ごく稀にありました。
対策としては公式サイトやマニュアルにもありますが、iPhoneを機内モード&おやすみモードで使用し、しっかりと接続することです。

iPhoneを機内・おやすみモードに
それとこれもおそらく接触の具合によるものだと思うけど、ステレオモードなのに片チャンネルしか反応していない時があるので、マイクに向かって喋ったりしてみて、LとRのメーターがどちらも反応していることを確かめよう。
僕の経験上、もっとも確実な接続手順は
- iPhoneの機内モードとおやすみモードをオンにする。
- Motiveアプリが立ち上がっていたら一度終了する(バックグラウンドからも消す)
- MV88をしっかり装着する。
- Motiveアプリを起動する。
- 本番の録音前にテストで少し録音してみる。
僕はこの手順でやってる限り、変なノイズが入ったり、録音に失敗したことは一度もありません。
iPhoneのケースが邪魔

ケースが邪魔
これも他の外付けマイクにも言えることですが、Shure MV88の形状と接続状態から、iPhoneのケースは外さないと接続できません。
僕は機種変してもう使わないiPhoneをケースなしで録音専用で使ったり、新しい方のiPhoneに接続する時も、比較的外しやすいケースなので全く問題ないですが、ケースを外さないといけないということは覚えておいてください。
【結論】音楽を録る人で、迷ったらShure MV88で間違いない

MV88が素晴らしいのはわかりました。
とはいえトミーさん、ちょっと値段が高めじゃないですか
だから迷ってるんですよね・・・
という人も多いかもしれません。
しかしAmazonでZoomのiQ7との値段差は3000円もありません(2021年9月調べ)
今は昔と違って、高価なものがショボかったり品質が悪いと、すぐにネットのレビューやSNSで拡散されて、まったく売れなくなってしまいます。
そうです、価格が高いにも関わらず低品質なモノは自然淘汰されるので、迷ったら高い方を買う、というのが単純ではありますが、僕の中で判断基準にもなっています。

バンド活動や弾き語りをやっていて、他の人と差をつけたいなら、ちょっと頑張って高品質な機材を手に入れることは、活動のモチベーションアップに繋がります。
僕は3年以上使い続けてますが、もし壊れてしまったら、迷わずShre MV88を買い直します。
Shure MV88レビュー まとめ
- 現実の音と間違うほどリアルな音質で録音可能。
- 専用アプリはシンプルで使いやすい。
- 付属の専用ケースはしっかりしている。
- 接触によっては稀にノイズがでることもあるが、機内・おやすみモード&テスト録音で回避。
- iPhoneのケースは外さないと装着できない。
- 値段は若干高めだが、音楽をやる人ならその価値は十分にアリ。
実際に録音した音源
最後にお店でのライブ演奏をiPhone内蔵マイクで録ったものと、MV88で録ったものをアップしておきます。MV88の実力が気になる人は、ぜひイヤホンやヘッドホンで聴いてみてください!
MV88の方はかなりバランスよく録れてて、ステレオ感もいい感じですね。